アクセッション番号の調べ方|データベースを利用

アクセッション番号の調べ方|データベースを利用

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【アカリク】

遺伝子解析実験に欠かせないアクセッション番号とは?

qPCRでmRNA発現を解析する際には、目的遺伝子のアクセッション番号(Accession Number)を調べる必要があります。
アクセッション番号とは、NCBIなどのデータベースに登録されている塩基配列に付けられた固有の識別番号です。
プライマー設計では、この番号を利用して正しい塩基配列を取得します。


この記事では、NCBIからmRNAのアクセッション番号を調べる方法と、どの配列を選べばよいかを解説します。


調べ方の手順

NCBIにアクセスする

NCBIのトップページを開きます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/


遺伝子名を検索する

検索カテゴリを「Nucleotide」に変更し、目的遺伝子を入力します。



遺伝子名は

  • 正式名称
  • Gene Symbol

のどちらでも検索できます。
大文字・小文字は区別されません。


ここでは例としてIl6(mouse Interleukin 6)を検索します。


検索結果を絞り込む

検索すると多数の結果が表示されます。



左側のメニューからmRNA、DNAなど核酸の種類を選択できます。
また右側(またはフィルター)からHuman、Mouse、Ratなど目的の生物種を絞り込みます。


検索結果を確認する

検索条件に合う配列が一覧表示されます。



検索結果は関連性の高いものが上位に表示されますが、下の方には別の遺伝子や類似配列が含まれることもあるため注意してください。
探している結果は大抵1ページ目の最初のほうに表れます。


検索結果を選ぶ

プライマー設計では、次のような優先順位で配列を選ぶのがおすすめです。

  1. NM_から始まる(接頭辞)アクセッション番号の遺伝子
  2. 接頭辞がBCなど、アンダーバーなしで、complete cdsと記載された遺伝子
  3. 接頭辞がXM_のアクセッション番号は極力避ける(予想配列なので)

complete cdsとは完全長の遺伝子で,その遺伝子がタンパク質に翻訳される領域を完全に含んでいます。
ただし、mRNAのようにcDNAクローンから決定された塩基配列ではない場合はcomplete cdsと書かれていない(場合が多いように思います)。
Partial cdsは完全長ではありません。
プライマー設計では必ずしもcomplete cdsでなければならないわけではありませんが、設計できる領域が広くなるため、通常はcomplete cdsを優先するとよいでしょう。


今回の例(Il6)ではNM_031168.2やBC138766.1が検索結果に表示されました。
それぞれの詳細は次のようになっています。


RefSeqアクセッション番号とは?

NM_などアルファベット2文字の次にアンダーバーのついているアクセッション番号はRefSeq(NCBIが提供しているデータベース)に登録されている情報です。
NCBIによってキュレーション(専門家が複数の論文などのデータを収集し,総合的に検証、修正して品質を保つ作業)された、信頼性の高い、いわば標準となる塩基配列です。



こんな感じで、NM_031168.2の詳細ページではNCBIのスタッフによってキュレーションを受けたことが説明されています。
この塩基配列は2つの一次情報が由来のようです。


アクセッション番号の書き方ですが、mRNAの場合はNM_○○○○
小数点以下の番号は改訂番号です。
データが更新された場合に付けられます。


たとえばNM_031168.2の場合、
NM_031168・・・アクセッション番号
.2・・・バージョン番号
となります。
塩基配列が更新されると、末尾のバージョン番号が増えていきます。


RefSeqのアクセッション番号の主な種類

  • NC_ 染色体・完全ゲノム
  • NG_ 特定の遺伝子座・不完全ゲノム
  • NM_ タンパク質をコードするmRNA
  • NR_ ノンコーディングRNA
  • NP_ タンパク質

mRNAの場合はNM_ですが、DNAやタンパク質なども上記の「N〇_」のアクセッション番号を重視すると良いでしょう。


BCなどのアンダーバーのないアクセッション番号は?

BCなどアンダーバーが付かない番号は、主にGenBank(INSDC:DDBJ・EMBL・GenBank)へ登録された一次配列です。
これらは研究者が実験によって決定した配列ですが、RefSeqのような標準参照配列ではありません。
つまり、実験データとしては信頼できるがキュレーションは受けていないという違いがあります。


BCだけでなく、AKとかJとか、アルファベットには複数あるようですが、アンダーバーがないところが見分けるポイントです。


遺伝子によってはNM_が見つからない場合もあるので、その場合はBCなどの配列を利用することがあります。


XM_とは?

XM_は、ゲノム配列からコンピュータが予測したmRNA配列です。
Gnomonなどの予測アルゴリズムによって作成されたもので、研究者が実験によって決定した塩基配列ではありません。
そのため、NM_やBCなど、塩基配列が実験で決定されたものがない場合にのみ採用します。
(ちなみに私はこのような場合、その遺伝子のPCRは見送ります)
下の画像のように、検索結果に「PREDICTED」と表示されています。


Variant(転写産物)が複数ある場合

同じ遺伝子でも、variant 1、variant 2、variant 3のように複数の転写産物(アイソフォーム)が登録されていることがあります。
もしすべてのvariantをまとめて測定したい場合は、

  1. 共通領域を探してプライマーを設計する
  2. 設計したプライマーを各variantの配列に対して照合し、すべて増幅できるか確認する

という方法が一般的です。


一方、variantごとの発現を区別したい場合は、それぞれに特異的なプライマーを設計する必要があります。
なお、ここは無意識的に誤解されやすいのですが、variant 1が最も重要でvariant 2、3になるほど重要性が低いという意味ではありません。
番号は登録上の識別子であり、生物学的な重要度を示すものではありません。


通常の遺伝子発現解析では、すべてのvariantをまとめて測定することも少なくありません。
ただし、研究目的によっては特定のvariantのみを解析することが重要になる場合もあります。


アクセッション番号の調べ方|まとめ

qPCR用のプライマー設計では、まずRefSeqに登録されたmRNA(NM_)の配列を利用するのが基本です。
NM_が見つからない場合は、GenBank(BCなど)の実験由来配列を利用しましょう。
それも存在しない場合にXM_などの予測配列を検討するとよいでしょう。


また、complete cdsの配列を選ぶことで設計可能な領域が広くなり、プライマー設計の自由度も高くなります。
アクセッション番号の種類を理解して適切な配列を選ぶことが、信頼性の高いqPCR実験の第一歩です。