アセトン沈殿のプロトコル タンパク質濃縮

アセトン沈殿のプロトコル タンパク質濃縮

アセトン沈殿のプロトコル

タンパク質溶液の濃縮に用いられる実験方法であるアセトン沈殿のプロトコルです。

  1. あらかじめ必要量のアセトンを-20℃で冷やしておく
  2. タンパク質溶液の溶液量に対して4倍量以上の冷アセトンを加えて混ぜる
  3. −20℃で3時間放置(overnightまで)
  4. 遠心14000g 10min
  5. 上清を除去し、アセトンを乾燥させる(蓋を開けて室温で30分放置)
  6. ペレットを適当なバッファー(RIPAバッファーなど)に再溶解させる

アセトン沈殿の注意点

アセトンを乾燥させすぎると、再溶解が非常に難しくなります。

どうしても溶けない場合は、半乾きの状態でもバッファーで再溶解します。

有機溶媒なので、タンパク質の立体構造が変化する可能性があります。

よって、酵素活性測定などの実験に用いたい場合は、失活するおそれがあるのでアセトン沈殿は適していません。
SDS-PAGE→Western blottingなど、タンパク質の変性が問題となりにくい実験に適しています。
また、予めアセトンを冷やしておくことがコツです。
冷やすことで、タンパク質の変性(失活)を少なくすることができるとされています。

アセトン沈殿の原理

タンパク質は溶媒中の溶解度を減らすことで沈殿します。
有機溶媒であるアセトンを加えることでタンパク質の溶解度が下がり、沈殿するという原理です。
なお、多くの有機溶媒は水と混合しませんが、極性分子であるアセトンは水に非常によく溶けるため、タンパク質の沈殿に使われるのです。
安価でプロトコルも簡単であるため、よく用いられる実験です。

 

ただし、上に述べたように、有機溶媒であるがゆえにタンパク質の立体構造に影響を与えてしまうので、その点において問題のない実験系で使いましょう。