バイオ実験プロトコル

学部生・院生のためのバイオ実験プロトコル「じっけん110番」

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「じっけん110番」は、卒業論文や修士論文のために研究している学部生、大学院生のためのサイトです。
バイオ実験経験がまだ浅い人のために、実験を失敗なく上手に行うためのコツや基本のテクニック、プロトコルなどを紹介しています。

 

実験の疑問は研究室の先輩や指導教官に教えを仰ぐのが基本ですが、その研究室で初めて行う実験など、ラボでノウハウが十分蓄積されていない場合もしばしばあります。
そのような時は、色々な手段で知識を蓄え、自分たちで試行錯誤しながら実験系を確立させていく必要があります。
自分で調べ、考え、実験を進めていく学部生・大学院生の皆さまのお役に立てれば幸いです。

 


KOマウスなどのジェノタイピングでバンドが出ない、不要なバンドが出過ぎてよくわからないなどの失敗に対処するためのチェック項目をまとめました。DNAが抽出できない抽出したDNAは溶液中に均等に溶けているのではなく、下のほうに沈殿していることがあります。なのでPCR反応に使おうとしてDNA溶液の上のほうをピペットで取っても、実はDNAが含まれていません。軽くピペッティングで溶液を混ぜてから使いましょう。ジェノタイピングのPCRがかからない・バンドが出ないまず、前提条件として、検出する各ジェノタイプ(多くの場合、+/+, +/-, -/-)のDNAを用意しましょう。このDNAは、今までにジェノタイピ...
ラットを用いた薬理薬効実験などでは、尾静脈注射(iv)で薬剤を投与することがよくあります。ですが、尾静脈注射は意外と難しく、熟練が必要です。ラットの場合、マウスよりも血管が太いので、その点では楽です。また、BL6マウスなどは非常に血管が見えにくいですが、ラットだと比較的見えやすいです。しかし、ラット尾静脈注射で最も難しいポイントは、ラットの力が強く、尾をしっかり固定することが困難だということだと思います。そこで、このページでは、ラットの尾の力をいかに逃がしてしっかり保定するか、そのコツについて解説したいと思います。尾静脈でラットの尾をしっかり保定するコツ重い保定器でラットが暴れないように固定す...
組織化学染色や免疫組織染色の実験のために凍結組織からクリオスタット(クライオスタット)で連続切片を作る際に、私が気を付けていることをメモってみました。ここでは私が主に行ってきた方法を述べています。ラボの流儀とか、組織のサイズや形、組織採取時の固定の有無で詳細は方法は異なると思いますので、参考までに。薄切切片作成時のコツクリオスタットの刃は使用前にアセトンかエタノールで脱脂しておく。組織は台にしっかりと固定すること!グラグラしないようにする。切片に縞模様ができる場合はしっかり固定できていない。ハンドルは一定の速さで回すこと。加減速厳禁!速過ぎるのはダメ!ゆっくり目のほうが良いが、遅すぎるのもあま...
マウスの腹腔からマクロファージを採取する方法を説明します。この方法で回収した細胞のうち、マクロファージは60〜70%ほどであり、他にはリンパ球なども含まれます。準備物26ゲージ注射針18ゲージ注射針10mLシリンジ(26G注射針を付けておきます)15mLファルコンチューブ(マクロファージの採取用)冷PBS麻酔薬(イソフルランなど)採取方法イソフルラン吸入で軽く麻酔をかけ、マウスの腹部を70%エタノールで消毒10mLシリンジで冷PBS10mLを腹腔内投与するマウスの腹部を軽くマッサージする(10秒程度。強くし過ぎないこと)18Gの注射針をマウスの腹腔内に刺す。注射針から流出するPBS(マクロファ...
分野によっては割とよく使うインスリン。インスリン製剤だとIU/mLで表記されているのに、プロトコルやマテメソではmMやuMで書かれていることが結構あります。毎回、単位とモル濃度の換算を計算するのも面倒なので、よく使う単位換算を箇条書きでまとめておきました。インスリンの分子量:5807(ヒトの場合)100 IU/mL = 609 uM = 0.609 mM = 3.53 mg/mL1 uM = 0.164 IU/mL1 IU = 6.09 nmol100IU/mLのインスリン製剤1.64mL中には1umolのインスリンが含まれているちなみに、インスリン製剤を使用する場合、UとIUは事実上同じとみ...
単核細胞であるC2C12 myoblastを多核細胞のmyotubeに分化させるときの方法を紹介します。高めの倍率で観察すると、筋細胞がピクピクと収縮する様子が見られて面白いです。準備試薬などC2C12myoblast細胞培養ディッシュDMEM(高グルコース)P/S(ペニシリン=ストレプトマイシン)FBS(Fetal Bovine Serum):非働化しておくHS(Horse Serum)培地調製増殖培地:DMEMに1%PS、10%FBSを加える分化培地:DMEMに1%PS、2%HSを加えるC2C12筋管細胞の分化誘導の方法増殖培地でC2C12 myoblastを懸濁し、ディッシュの底面積1c...
バイオ実験でのサンプル数(検体数・n数・例数・症例数)はどのように決めればよいでしょうか?細胞実験ならn=3、動物実験ならn=6-8くらいがよく使われるサンプル数だと思います。ですが、特に根拠がなく「周りがそうしているから」「指導教官にそうしろと言われたから」「これくらいあれば何となく有意差が出そうだから」という理由でnを決めていないでしょうか?本来、あらかじめサンプル数を決定してから実験を開始すべきです。ですが、p値が少し大きいからと言って後からnを追加したりしていないでしょうか?ここでは、対応なしt検定(2群間比較)を行う場合において、統計的有意差を出すために必要なサンプル数をあらかじめ算...
RT-PCRやgenotypingによく用いられる実験機器であるサーマルサイクラー。うまくPCRがかからない、いつもと違って何かがおかしい・・・という場合にチェックすべきポイントを3つ挙げておきます。8連チューブの本体とフタのメーカーが合っていない本体とフタが合っていない場合、加熱・冷却のサイクルの中で、樹脂の膨張率・収縮率の微妙な違いのせいで、蓋がわずかに緩んでしまい、本体との間にわずかな隙間ができる場合があります。その隙間から、PCR反応の内容物が蒸気となって漏れ出てしまうことがあります。PCRが終わり、8連チューブを見てビックリ、中身の液量がすごく減っている場合があります。キャンペーンに...
培養細胞の免疫染色(ICC; immunocytochemistry)のプロトコルを紹介します。ラボによって使用する試薬や濃度が違いますが、それぞれの作業の順序や目的は共通しているはずです。ここでは、サイト作成者である私が主に用いている方法を紹介します。準備試薬PBS固定液:4%パラホルムアルデヒド(PFA)/PBS (WAKO #163-20145) 4℃保存Wash buffer: 0.025% Tween 20/PBS (250uLの10% Tween20+100mLのPBS) 常温保存Blocking buffer: 10% 正常血清/ 0.3% Triton X100/PBS (30...
SYBR GREEN法によるqPCRのプライマー設計に、PRIMER3などの専用ソフトを利用しているラボも多いと思います。ですが、そのような専用ソフトやフリーソフトを使用しなくても、WEB上でプライマーを設計できてしまう方法をご紹介したいと思います。習うより慣れろです。まずは試してみましょう。遺伝子のシークエンス情報を手に入れるPubMedで知られているサイトです⇒https://www.ncbi.nlm.nih.gov/検索窓の左の選択肢を「Nucleotide」にして、遺伝子名(タンパク質名でもOK)を入力ここでは例として「Cidea」を検索してみましょう。左の「Molecule type...